HSコードの分類は「商品の客観的な状態」で決まる
HSコードの分類は商品名や売り手の意図ではなく、その商品の客観的な性質・形態・用途によって判断されます。つまり「ポケモンカード」という名前だけで分類が決まるわけではなく、どんな状態で輸入されるかが重要です。
税関は「この商品は本質的に何なのか」を見ます。同じポケカでも、未開封BOXとPSA鑑定済みシングルカードでは、見た目も形態も実態もまったく異なります。
BOX・パック購入の場合
未開封のブースターBOXやスターターデッキは、商品としての性格が「カードゲーム商品」そのものです。パッケージには遊び方の説明が記載され、販売形態もゲーム商品として流通しています。
BOX・パックが9504.40寄りになりやすい理由
- 商品パッケージが「カードゲーム商品」として設計されている
- 開封してプレイするという使用目的が明確
- 販売形態がゲーム商品として一般流通している
- インボイスに「Booster Box」「Starter Deck」と記載されやすい
9504.40(遊戯用カード)のWTO税率は3.2%です。ただし実務上は9504.90(無税)として処理されるケースもあります。前の記事で解説した通り、分類は税関の判断によって変わるため、必ずしも課税されるわけではありません。
PSAシングルカード購入の場合
PSA鑑定済みのシングルカードは、BOXと同じ「ポケモンカード」でも実態がまったく異なります。硬質ケースに封入され、鑑定番号が付与され、高額で取引される——これを見て「このカードでゲームをする」とは思わないはずです。
未開封BOXの印象
- 開封して遊ぶゲーム商品
- パッケージに遊び方の記載
- 量販店でも販売
PSAシングルカードの印象
- 硬質ケース封入済み
- 鑑定番号・グレード付き
- コレクター市場中心
この「客観的な状態の違い」が、PSAカードを9504.90(その他・無税)として処理されやすくしている要因のひとつと考えられます。インボイスに「Graded Trading Card」「Collectible Trading Card」と記載されていれば、さらにその傾向が強まります。
ただし繰り返しになりますが、これはあくまで「そう処理されやすい」という実務上の傾向であり、分類は税関の判断によって変わります。
「収集品」として第97類にはならないの?
HSコードには第97類という「美術品・収集品・骨とう」の章が存在します。PSAカードがコレクターに取引される以上、こちらに分類されないのかという疑問は自然です。
しかし第97類はかなり限定的な分類で、主に歴史的・考古学的・民族学的な価値を持つものが対象です。「人気があって高額」というだけでは第97類には入りません。現代の量産品であるポケモンカードは、たとえ100万円のPSA10であっても、通常は第97類にはならないと考えられています。
第97類(収集品)が対象とするもの
- 歴史的・考古学的価値を持つもの(古代遺物など)
- 民族学的価値を持つもの
- 切手・コインなどの伝統的収集品
- 絵画・版画・彫刻などの美術品
結果として、ポケカの関税論争は「第97類か9504か」ではなく、「9504.40(遊戯カード・3.2%)か9504.90(その他・無税)か」という9504内での解釈の問題になります。
まとめ
✅ BOX vs PSAシングルのまとめ
| 商品の種類 | HSコードの傾向 | 税率の傾向 |
|---|---|---|
| 未開封BOX・パック | 9504.40寄り | WTO3.2%の可能性あり |
| プレイ用シングル | 9504.40〜9504.90 | 判断による |
| PSA鑑定シングル | 9504.90寄り | 無税になりやすい |
いずれの場合も、関税とは別に輸入消費税(10%)は発生します。また上記はあくまで実務上の傾向であり、税関の最終判断によって変わる点はご留意ください。